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小論文の対策と書き方

小論文は、理科系の大学院を除けば、ほとんどの大学院で選考科目となっています。

出題傾向は、研究者を育成する一般の大学院と、社会人を主な対象とした大学院とで、異なるようですが、基本的には、どちらも、与えられたテーマについて自分の意見を記載するような問題がほとんどです。

回答の文字数については、800~1000字程度が一般的ですが、特に制限を設けない大学もあるようです。また、用紙は、罫線が引かれただけの用紙を配布することが多いようです。

なお、最近は300字程度の短い回答を複数書かせる場合もあるようで、多様化しているといえるでしょう。

内容および文字制限について志望校の過去問題をチェックし、傾向を知っておくことが必要です。

四部構成による対応

出題形式が多様化している小論文ですが、4部構成による基本的な書き方を身に付けていれば対応可能といわれています。

第一部

まず、「○○は適切であろうか」、「○○を進めることは正しいのだろうか」などのイエス・ノーで答えられる問題提起をします。

そして、提起した問題について、自分の意見はイエスなのかノーなのかをキッパリと書きます。あいまいに書いてはいけません。

※イエス・ノーでの問題提起を作りにくい設問の場合には、第1部に結論を書きましょう。
「△△は、○○すべきである」というように、冒頭ではっきりと結論を示すことが大切です。

第二部

自分の意見の根拠となる事実をいくつか記載します。

具体的な数字を挙げると説得力を持たせることができます。

第三部

第三部では、第一部と第二部によって主張した意見に対する反対意見を紹介し、さらに、それに反論します。

たとえば、「ここで、この見解に対しては、~という理由で反対する見解がある。確かに~という点ではこの反対意見に納得できる部分がある。しかし、私が考えるに、~という理由で、~である。」というようなパターンを用います。

他人の理論の問題点を指摘した上で自説を展開するという形を採用することで、記載量も充実しますし、また、視野の広さを示すこともできます。

こういった文章展開をするためには、あらかじめ、出題されそうな事柄を予測したうえで、対立する意見を、理由とともに記憶しておくことが役立つでしょう。

第四部

結論を書きます。

「以上より、~と考える。」としめくくればよいでしょう。

問題の内容によっては、問題への対策方法を示したり、制度の変更などの提言をすることもできます。

過去問の入手

入試課に出向いたり、入試課の職員に電話で問い合わせると、過去問を見せてくれる場合があります。

この場合、コピーを許可されるケースが多いようです。

入試問題を手に入れるために、オープンキャンパスなどを積極的に利用することを考えましょう。

教授とコンタクトをとる

入学後に指導を仰ぎたいと思っている教授に、研究に対する疑問点や大学院のカリキュラムなどを個別に相談・質問するために、研究室訪問を行いましょう(ただし、学内進学であれば、これは不要になるかもしれません)。

研究室訪問をするのは、みなさんの研究が指導可能であるか、研究内容の不備を磯認してもらうためです。また、大学院の研究宣がどんな様子なのかを、自分の目で確かめるためでもあります。

訪問の前には、研究室が訪問を許可しているか確認しましょう。可能な場合でも、事前にメールや電話でアポイントを取るのがマナーです。

なお、研究室訪問しても、まだ研究テーマが見つかっておらず、漠然とした質問しかできないのは、印象が悪くなります。研究テーマと内容を決め、質問を整理してから研究室を訪問しましょう。

使える知識・事柄を集める

新聞などを普段から読んでおくことが大事です。

社説はもちろんですが、投書欄や、識者たちの意見など、幅広くいろいろな意見に目を通しましょう。

投書欄では内容を読み、賛成意見や、反対意見を考えてみるのが良いトレーニングになります。賛成・反対意見を考えることで、発想力・論理力がついていくでしょう。

たとえば、公共施設での喫煙をテーマにした記事を新聞で読んだときに、「公共施設では、全面的に禁煙とするべきか?」という問題を、自分で設定します。

そして、「喫煙は周りの人に迷惑」、「喫煙者と周囲の両方の健康を害する」という観点から、賛成意見を考えるのはもちろんですが、「喫煙者に将来かかる医療費」という観点からも、喫煙禁止への賛成意見を考えることができます。

そして、反対意見としては、「自己決定権の尊重」に着目した意見を考えることができます。

さらに、結論として、たとえば、「喫煙エリアを設けて分煙とするならば構わない」というような条件付きの賛成意見を考えることができます。

色々な角度から物事を検証できるようになれば、読む側にとっても、面白い小論文を提供することができるでしょう。

第三者の視点

独りよがりにならないよう、第三者に「読みやすさ」「理解しやすさ」などを添削してもらうことが論理的な小論文を書く訓練には有効です。

専門用語が正確に使われているか等も確認してもらえるとよいでしょう。専門用語は正確に使用しないと、かえって評価を下げることも忘れてはいけません。

社会人が小論文を書くときの注意

社会人入試の場合は、自身の経験にこだわりすぎないようにしましょう。

例えば、人事部で採用の仕事をしたことのある人が、小論文試験で「成果主義について考えを述べよ」などと問われたときに、なぜか、採用すべき人材について厚く論じてしまうような場合があります。

受験者には、なんとかして自分の得意分野を披露して得点を稼ぎたいという心理が働くのかもしれませんが、それは設問によって、書くべきか書かないべきか、きちんと考える必要があります。

設問によっては得意な持論をうまく結び付けられる場合もある一方、自分の経験を披露することが、設問の意図を無視してしまうことになる場合があるので、注意です。

設問の意図を無視しては、受かるものも受かりません。社会人経験を披露したい気持ちを抑えましょう。出題者が求めていないことを好き放題に書くのでは合格には結び付かないと肝に命じておきましょう。

問題をみたら、落ち着いて、設問の意味、出題者が聞きたいことを、しっかり理解し、それを重点的に記載することを忘れないでください。

問題文の中に「社会人経験を踏まえて」などと特別に明記されていない限りは、社会人経験はなるべく書かない方がいいでしょう。たとえ書く場合でも、「かつての自分の場合は~であった」とひかえめに書き、自説の根拠の一つとして、短く記載しておくのが無難です。

いざ、試験になったら

試験時にはまず、問題を読んで、問題提起を考えましょう。

たとえば「フリーターについて意見を述べよ」という問題なら、「フリーターの人数を減らすことはできるか」、あるいは、「対策に税金を使うべきか」など、何らかの形の問題提起を作ることができます。

次にメモをとり、考えをまとめることが大切です。思いついたことを賛成・反対意見に分けていきましょう。

そしてメモを見ながら、イエスとノーのどちらの根拠が有力か、説得的かを考えます。

次に構成にはいります。何を第1部、第2部、第3部、第4部に書くのかを割り振るのです。

なお、小論文では、途中までしか書いていない解答はO点になると思ってください。何か何でも試験時間内に書き終えなくてはいけません。

試験の最初に、読み取り、メモ、清書、推敲にそれぞれどのくらい時間をかけるかを決めて、解答用紙の余白にでも小さくメモをしておくとよいでしょう。試験時間が60分で指定字数が800字以内であった場合、仮に800字を書くスピードが40分だとしたら、残りの20分を読み取り7分、メモ8分、推敲5分というように割り振っておくのです。

なお、下書きは勧めません。下書きをする時間があるのなら、アイデアや構成を考えるためのメモづくりに時間をかけたほうが内容のある小論文を書けるはずだからです。

推敲は誤字脱字の確認のみにとどめておくようにしましょう。読み取りやメモに予想以上に時間がかかった場合には、推敲は残り1~2分だけにします。それくらいあれば、誤字脱字は直すことができると思います。

ピンチの場合には時間をうまくやりくりすることを頭の隅においておくと、すべてが予定通りに進まなくても、落ち着いて答案作成に取り組めるでしょう。